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商店街活性化コンペをみて考えちゃったなぁ

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県の事業・商店会活性化コンペでは鯨ヶ丘商店会が初年度最優秀賞をいただいている。事業をすすめてきた鯨ヶ丘倶楽部や商店会の会長さんたちとはずっと長くいろんな活動でご一緒してきた仲でもある。コミュニティカフェをオープンしようと思ったきっかけはその人たちが黒磯のCAFE SHOZO視察に誘っていただいたから。

カフェを始めることになった顛末は、例えば茨城大学の社会主事講習などに招かれたとき用のPP資料として作ってはあるし、何度も話してはいるがブログでは開店までの準備などは随時載せていたものの、そもそものことは載せてなかったんだ。改めて整理の意味もこめブログアップしてみる。

**************************以下パワーポイント説明原稿転載

2008年3月に常陸太田市東一町にコミュニティカフェ結+1を立ち上げました。立ち上げに関わったのは女性のみ、女性の立場からみた地域再生のための最前線と私自身は位置づけをしているcafe、そのオープンから現在までの取り組みをご紹介します。

先ほど発表のあった鯨ヶ丘倶楽部から栃木県黒磯への視察のお誘いを受けたのは2007年の9月。WさんFさんたちとは様々な活動でご一緒していましたが、その中で「常陸太田市の中心市街地活性化/商店会活性化」という言葉でくくられる活動だけには一定の距離を置いておりました。

商店会のある鯨ケ丘の住民や商店の方たちが「商店会活性化」を目標にするのならわかりますが、よそから移ってきた私のような一市民にとっては「商店会活性化」や「中心市街地活性化」がそのままストレートに自分のモチベーションにはなりえません。自分がかかわるとすれば「女性」というキーワードでのコミュニティ再生や新たなネットワーク構築だと考えていたからです。

視察の目的地カフェSHOZOがあるのは栃木の商店会だということで、せっかくのお声かけではありましたが、距離感を持ったままの参加ではありました。そのような思いを持ちながらお誘いを受けて出かけた視察の結果、半年後には商店会にカフェをオープンすることになってしまったのはどういう訳か。まずはきっかけとなったカフェSHOZOをご覧ください。

あとから「カフェSHOZOに行って来た」というと周りの友人が「えぇ~、すてきだったでしょ」と言う反応がほぼ間違いなく帰ってくる超人気のカフェSHOZO。この写真はSHOZOカフェの入り口の道路にある落書きというか記念のサインです。

こちらがカフェSHOZOのある通りです。視察の目的を聞かれて「シャッター通りにあるカフェ」と紹介された シャッター通りそのものです。写真を撮るのに車をあまり意識しなくても十分安全に撮れるほどの通行量とでもいいましょうか。

左側が最初にこの通りにできたカフェSHOZO、右の写真は駐車場横にある雑貨を扱っている店舗です。

左 先ほど紹介した店舗から数十メートルの所にあるジャンクなアンティークを扱っている店舗。 このほかにこの通りに洋品を扱う店とバーの2店舗がほど近い距離でたっているためこの通りのこの地区だけ妙に人の訪れの多い所となっているそうです。 那須方面にさらに2店舗ありそれぞれが魅力的な作りとなっています。

女性の力をあわせて、その人たちの得意分野を生かしながら何か拠点のような形にできないだろうかという、もやもやとしたイメージが長く自分の頭の中に浮かんでいて、視察をきっかけにそれがカフェという形につながったのです。黒磯市への視察は当時常陸太田市商工会が県の助成を受けて行った事業の一環で市内に新規オープンの店舗を3店開店するため。カフェオープンのための費用にその助成金を利用できることも大きなきっかけでした。

早速、立ち上がりのメンバーを募ることを始めました。当初声をかけたのは12人、集まった仲間たちとcafe立ち上げの最初の会議を行ったのは11月末で視察から2ヶ月が過ぎていました。 (★印ひとつが一人です)

ガーデニングが得意な人、
女性建築士
臨床心理を学び職業としている人
有機無農薬野菜の生産者
平飼いの卵の生産者
ケーキのパティシエとして修行した主婦
趣味で骨董収集をしていた女性
老人介護施設のNPOを手伝っていた人
陶芸作家の女性
アナウンスや司会の仕事をする女性
観光協会が運営する販売所から亀印にヘッドハンティングされた女性
など

目指したのは女性が集いそこで新しいつながりを作れる場所としてのカフェ、コミュニティカフェという肩書きはそのためのものです。こちらの写真はオープンの3/22、イベント前の時間自分たちが踏み出す最初の一歩の写真です。 女性のネットワークの拠点としてのスタートですが、男性禁制というわけではありませんので念のため。

最初に声をかけた12人が出会った機会をみると女性が地域で抱える課題が見えてきます。
青 独身の女性
黄色 結婚はしていますがお子さんはいません
緑 赤ちゃん育児中
ピンク 結婚して子どももいる多数派女性
ピンクに赤の縁  親の介護実践中

このような人がどこで出会ってきたのか
フォンズ   ま
ちづくり団体
子どもの劇場
作家と客
農産物の生産者と購入者
趣味のサークル仲間
男女共同参画委員
太田に生まれ育った人も数人いますが多くは他市町村から結婚や仕事で移り住んできた人、それぞれのメンバーがどういう場を今欲しているかを最初の会議で話し合いました

★子育てから解放されて一瞬ゆったりと過ごせる時間が欲しい
★介護の情報を先輩から聞けたら、介護の息抜きをする場が欲しい
★女性が地域に根づく最短の手段は子どもを通して人と知り合うこと。それがかなわなかった人はどうやって地域で共感を持った友と出会えるのか
★相談所といった公の場所は敷居が高いと感じている人がふらっと寄って愚痴をこぼしたり話を聞いてくれる人がいるところはないか
★遠くから引っ越してきてこの地域のことを知りたい
★子育て支援事業も講演会などではなく、趣味のサークル活動などをしながらいつの間にかいろんな話を聞けて視野が広がるようなとりくみがあるといい

などなど、自分たちの暮らしに直結する課題を自分たちの手で解決していく場所、そして同じような課題を持つ人たちと出会える場所としてのカフェのあり方を確認しました。

店の内部をご紹介したいと思います。店内を飾るものはすべてひとつひとつ選びまして「病気」といわれるほどこだわりました。これは益子在住の作家さんが作っているひょうたんランプですが これの買い出しに出かけたときにNさんというおばあさんとご一緒しました。この方はひょうたんを栽培なさっていて地元西山荘の売店に「開運」などと書いて販売用に卸したりしていた方なのですが 非常に興味をもったらしく作家さんに作り方や道具のことをしっかり聞いてきて今では展示会を開けるほどのひょうたんランプを作っていらっしゃいます。何かが動き出すと連動して様々な輪が広がっていくことのぴったりな例だと思います。

トトロの階段みたいとお客様がおっしゃる階段、黒光りする階段は改装設計を担当したメンバーの建築士が古い建築の良さを壊さずに今に活かすスタンスをとっているため 元あった位置とは違う場所で大事に活かされ利用されています。

結+1というネーミングは会議の中でブレーンストーミングを行い決めたものです。案が 「結」と「+1」の2つに最終的にまとまり、どちらにも決めかねて一緒にした名前です。 結というのは農業などで作業の手伝いをしあうことで力を合わせて何かを作りだそうという意味合い +1というのは今の暮らしにほんのちょっとプラスしてみようというような意味合いで つけたものです。 食器の使い方からモノの飾り方まで、なにかちょっといい感じを提案できるような カフェでありたいと思いながらレイアウトなどを楽しんでいます。

こちらも捨てられる運命にあったようなものばかりですが 、こんな使い方もいいでしょ?と思っていただけますでしょうか。

このカフェの利用目的に子育て中の親子が集える場所でありたいという願いがありましたのでイベントスペースとして利用する予定の2階への階段には子どもさんが危なくないように柵を設けています。 奥の方に見えますのは子どもさん用の椅子・テーブルのセットです。

店のロゴは鯨ヶ丘商店会長のWさんに書いていただきました。みなさんの力をお借りしながら成り立っている象徴の様なロゴです。

カフェオープンが3月、その年の6月、常陸太田市では新しい助成制度を始めました。まちづくり市民提案型事業というもので、早速子育て支援の事業を企画し申請、許可を受けました。

2008年度は5つの事業を企画
①はじめてのクラシック
②シェフと一緒にクッキング
③ママとkidsのエコバックつくり
④みんなの笑顔写真展

1以外は事業規模は小さく、募集する参加者も決して多くはありません。人数を限定するには意味があります。先ほども申し上げましたが、カフェの役割は、自分たちが心地よいと思えるスペースを拠点として、自分たちの課題を自らの手で解決し、同じ課題を持つ人たちと新しいつながりを作る場にするというものです。人のつながりは作るのに時間も手間もかかるものです。言葉で聞くとさらっと当たり前のようなことに聞こえますが、時間と手間がかかるということ、案外忘れ去られがちなんですね。

フォーラムや講演などのように、いっぺんに大勢に向かってあるメッセージを投げる、と言うことは効果が大きいように思いがちですが、言葉というのは難しいものでして、大勢に向かって投げかけられた言葉は案外人に届きにくいのです。こういう形で話をさせていただきながら反対のことを言っているようで申し訳ないのですが、このことはさんざんフォーラムを企画実行してきた反省から、実感を持っていえます。

言葉は「あなたに」というようにきちんと向き合って伝えようとして初めて届くものなのだと。ですので、私たちの行う事業は、少ない人数で一人一人にカフェのメンバーが心を込めて応対すると言うことを重ねていくことを大事にしようというスタイルを取っています。

このスタンスで一年事業を展開してきた結果、スピンオフ企画としてママと子どものストレッチ教室や、イトオテルミー療法(お灸のようなもの)などが生まれました。 また、ひたちなか市からはキッズカフェを開きたいというお母さんたちのグループが見学にきて拠点を持つという意味の大きさも感じさせられました。

2009年度も継続して助成金を受け事業を予定しており、今年度行うのは、“Nobody’s Perfect(完璧な親なんていない)”というプログラムです。近年女性の多くは、就労などを通して、「母役割」以外の役割を志向していますが現実は、育児と就労(社会参加)の両立は容易ではありません。育児中の女性雇用への消極的傾向、保育の受け皿の不足など、社会上の不整備や、一方で女性自身の抱える3歳児神話の思い込み、配偶者から理解・協力を得られない状況、その他のさまざまな不安等、個人的要因の存在も大きいものがあります。そこで、すでに日本で実績のある“Nobody’s Perfect(完璧な親なんていない)”プログラムを用い、就学前の子どもを育てている女性の社会参加への意欲、自信を高めるための支援を行うことを目的としたものです。

保育を設けたワークショップで、ママたちはグループで自分たちの課題を話し合っていきます。その間子どもたちはカフェのご近所で商店会が運営する「イモ屋」という駄菓子屋の和室で遊んでいます。こちらがその風景です。カフェの同じ店舗内では子どもの泣き声などがママたちに聞こえてしまい、母親たちが不安を感じてしまうこともあるため、近くにこのような連携の取れる場所があることは大変にありがたいことでした。保育は専門の保育士さん以外に、大学で保育士を目指している学生さんたちにも加わっていただいています。

常陸太田市は2つの大学と連携を取る協定を結んでおり、今後はその点でも広がりを作って行きたいと思っています。拠点ができるということの意義を、実際に広がりつつある輪を見ながら実感した一年でした。

最初に申し上げたように、自分のモチベーションとは違った位置にあると感じていた商店会ですが、現在はそこに出店したことに大きなメリットを感じています。

一つはカフェSHOZOで現われていた現象です。地域的にみると私たちのcafeは一つの点でしかありません。たとえば常陸太田市全域という広さで3店舗新規に動きが出たとしてもそれぞれが小さな点のままです。しかしながら、商店会という通りに出店すると、同じ3店舗が一つのムーブメントに見えます。

もうひとつ。商店会というところでなく個店として出店した場合は、あくまでも個の力だけで情報の発信などしなくてはなりませんが、商店会はもともと地域の人に働きかける組織としてのベースがあり、経済活動の上にコミュニティ活動を目指している鯨ケ丘商店会のような商店会はまちづくり団体としても大きな力を持っていることがわかりました。

商店会は今後このような活動をする母体として地域にとって大変大事なものとなりうる事例を私たちのカフェの例で表しているといえます。お時間がありましたら、ぜひ鯨ケ丘に足を運んでみてはいかがでしょうか?

********************************転載終わり
「WさんFさんたちとは様々な活動でご一緒していましたが、その中で『常陸太田市の中心市街地活性化/商店会活性化』という言葉でくくられる活動だけには一定の距離を置いて」いたことについて、補足。

常陸太田市の歴史をみると現在の鯨ヶ丘商店会が「中心市街地」であったのは間違いないでしょう。自分の義母や周りの多くの人が、自分自身も常陸太田市に居住しているのに、その地区に出かけることを「太田に行く」と表現していたそうです。しかし、言いにくいのですが、自分が嫁いできた時期で(四半世紀前)既に常陸太田市は「静かなまち」という印象でした。

「中心市街地」ってどこ?って思いますよねぇ。中心って行政が決めるものなの?っても思いました。だいぶ前から、口コミで知った新しい素敵なお店は「住宅地」にひっそりあったり、自宅の一角を改装してショップにしているところが増えていました。商店会・商店街とはまったく別のところに元気いっぱいの人たちが行政の支援も何もなく着々と足場をつくっているのが目立つようになっていたので、ひっそりと元気のない商店会になぜ支援しなくてはならないのか、自分には全く理解できなかった、ので、この部分に関する活動では距離を置いていたということです。(商店会から外れた位置にいて、さらに他市から移住したという二重に外れた位置にいた私たち)

カフェを始めたところが「商店会」の一角であっても、「自分たちは商店会活性化のために出店したのではありません」「たまたま、空いている店舗がそこにあった」と声に出していました。そのような考え方を受け止めてくれる商店会ではあった、そのことには感謝しています。(「受け止めてくれる商店会であった」と表記したけど、本当はそうではなく受け止めてくれる人が商店会の会長職をしていた、のほうが正しい言い方だと思います。)

で、やっと本題。(長い前置きだったなぁ)今日プレゼンをみて、「商店会ってなんだろう」「活性化って何?」って???を頭にいっぱいくっつけて帰宅。夕方審査結果をツイッターで知って、さらに?が増えたけど、妙に納得したところもある。

結局は、県の事業が「商店街の活性化」ってことなんだよね。「あくまでもこの事業は「商店街の活性化」が主眼であり地域振興のコンペではないとの話。であれば、カミスガもアルべも上市朝会も一次審査で落とすべきでは?」(@kafkahさんのつぶやき引用)全く、その通りで、審査員は県の方向にそってきちんと審査したんでしょう。問題にしたいのは「どうして商店街だけ支援対象にされるのか」ってこと。

通らなかった団体がそれで活動をやめるわけではないし、通らなかったことを正々堂々と言っていいと思うし、通らなかった団体の方が魅力的に思えます。支援なんて関係ないところでやってる事業・団体の方がよっぽどすてきだよー。自分もそっち側の人間でありたい、自分では思っているのさ。

数年前審査を通った鯨ヶ丘商店会と今年のカミスガを並べてみてみる。
 鯨ヶ丘商店会  ←→鯨ヶ丘倶楽部/カフェ結+1
 ???      ←→カミスガプロジェクト
審査員がカミスガのプレゼンの後質問したように、地元の商店街が全く見えてないところでのカミスガの動きが事業の趣旨と外れている。ハチバスさんの答えは「商店街新興」だから、違っていることをわかってプレゼンしてるのね。当然すれ違ってしまう、考えたら当然の結果でした。

応募していた他の商店街もがんばっているのだろうから、この事業が全く意味がないとは言わない。でも商店街の他で地域振興をするムーブメントを支援する事業も、当然あるんですよね?って聞きたい気はした。どうなんだろう?
最後に関係あるようなないような愚痴。

市の提案型まちづくり助成事業の審査委員をしている。今年で4年目になる。いろんなグループがいろんなアイデアを出して助成申請してくるので、審査はそのような人たちと出会える機会としてはとても魅力的な場ではある。でも、通しようがない、って申請も結構ある。シビアに(だって公金をつかうんだから)意見を言うと逆ギレされたこともある。シビアって言うけど、率直な感想なんだけどねぇ。

担当課にいつもお願いするのは助成申請の通った団体はある意味ほったらかしでもいい、職員や審査委員の目が光ってるから。ぎゃくに、通らなかった団体や申請してこない動きをつかむところに力を入れてね、って。どうして審査が通らなかったのか、そこをきちんとフォローして活動も修正し、翌年また再トライをまってるんだけど、一度落ちると再挑戦しない団体の方が多い。恨みだけ残して、活動はそのままってのは誰にも利さないと思うんだけどなぁ。

「成功させて審査委員に謝らしてやる!」なんてつぶやきも見たけど、勢い余っての言葉だと信じたい。そんなこと考えてるとうまくいかなくなっちゃうよ。私が関わってる審査で、団体がそう思ってたら、自分あっさり認めちゃう、あなたたちは素晴らしいって。

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