むかしむかし~映画の感想⑫
2002年ごろ書いていた映画の感想
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女はみんな生きている
/ 主演 カトリーヌ・フロ ラシダ・ブラグニ 2001年
/ 2002年セザール賞 2002年リュミエール最優秀有望若手女優賞受賞 (予告編はこちら)
平凡な夫婦がある夜パーティーへ参加しようと車を飛ばしていると、その前に血まみれの女と彼女を追って数人の暴漢が現れる。彼女が助けを求め車の前に立ちはだかると、運転していた夫は車のロックをかける。呆然とする夫婦の前で女は殴る蹴るの暴行を受け倒れるが、女を心配する妻、血まみれになったフロントガラスを心配しながら立ち去ろうとする夫。こうして事件は、いや戦争は始まった…。
襲われた女性を探して病院にたどりついた妻・エレーヌは集中治療室に横たわっている彼女・ノエミの姿を見つけ、立ち去ることができなくなっていた。献身的に介護を始めるエレーヌによってノエミは奇跡的に回復していく一方、家出状態で出てきているため、エレーヌの家の中は荒れ放題。夫のポールは家事一切できないのでお手上げ、戻ってこいの大騒ぎ。
エレーヌの携帯に留守電を入れる「アイロンのかけ方がわからな、連絡をしろ」それを聞いたエレーヌが返す返事がいいなぁ「本当はアイロンなんか口実でしょう。本当は私のことが心配で電話したのね。(このあとは略)」。そうだよね、何も言わずに出て行ったんだから、最初に言うのは本来なら、妻を心配する言葉だろうに、それが家事のことだもの。この夫婦の関係がどうなっていたかを想像するにはぴったり。
いろいろと波乱万丈がありまして、自分を見失っていたエレーヌがノエミとの出会いで、自分の行き方を発見するっていう結末。専業主婦論争のころ、「フェミニズムにはまった主婦たちが夫との結婚生活を振り返って、本当の生き方を探して離婚する=生活レベルが落ちる」ことを見聞きするのはもう嫌だと、小倉千加子が語っていたことがあったけど、それを映画でやっちゃったんですね。でも、映画は安心、ノエミが稼いだ莫大な財産があるから。という訳で、終わったときはある種のカタルシスがあって、小さく拍手しようかなって思って、指先だけでぱちぱちしてきました。
ノエミが言い寄るポールやポールの息子に「もうSEXはしない」と毅然と言う姿に感動した。ああいう風に言い切れたらどんなにか、楽。夫・ポールの母を見ていて、「豊か」ってイメージがわいてくる。