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むかしむかし~本の感想④

2002年から2004年ごろに書いた本の感想

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趣味は読書。/斉藤美奈子 平凡社 ¥1429
斉藤美奈子って今絶好調なんじゃなかろうか?最初にその名前を意識したのは「紅一点論」から、フェミ的な視点からの現代論に「そうだ、そうだ」ってブンブンいうほど肯いてからファンになっちまった。何がいいって、辛口の小気味よさってところでしょうか。どういう風に小気味いいかってゆーとォ・・・。

例えば上野千鶴子。上野千鶴子の著書と講演の違いをちょっと説明しますね。著書は理論を学ぶにはいいんだ。読んでいて「あ~そうだったのかぁ!」って社会やその中で生きてきた自分がどういう風に作られてきたのかが、目ウロコでわかるためにはベスト、でも、ちょっと難しい。講演は著書に比べるとめっぽー解りやすくなっている。話の展開は早いしきちんと筋立てして話されるうえに、お笑いのつかみも好みなので、聴いていてただただ小気味いい。そんな上野千鶴子の講演の小気味よさをそのまま文章化してある、そんな感じ。

斉藤美奈子の視点は、かなり辛辣。別の著書「文壇アイドル論」で村上春樹の部分は、読んでて気分が落ち込んだもの。大好きな作家がメッタギリ状態なんだけど、そのメッタギリが「そういゃそうだよね」ってファンが納得しちゃう公平さの上に言われてるのが解るから・・・。

この本はいわゆる「ベストセラー」っていったい誰が読んでいるのか?本好きに聴いてもあまり「読んだ」という答えがないことからの素朴な疑問解決のために書かれたらしい。取り上げられたベストセラーのタイトルを眺めてにんまり笑ってしまった。

*大河の一滴(五木寛之)
*鉄道員(浅田次郎)
*朗読者(B・シュリンク)
*模倣犯(宮部みゆき)
*チーズはどこへ消えた?

ほらね、本屋で平積になって、目を引くPOPがついていたりして、思わず手にした覚えのある本があるでしょう?で、本をパラパラやってみて、ため息と共に元に戻した本が、ね。その「戻し」本の斉藤美奈子のバッサリ具合が本当に気持ちいくらいバッサリ~!こんな本でも売れていいのか!って机ドンと文句いいたかった思いがぜぇ~んぶ書いてある。で、でも、ベストセラーっていわれてる本をちゃんと全部読んでないのに「戻し」状態でその本の「私の評価」を決めちゃってよかったのかっていう、かすかな罪悪感も払拭してくれる。あ~気持ちよかったぁ。

でも、これ1500円近く出して、買って読む本じゃなかった気がする。斉藤美奈子の新刊だって本屋で平積を手にして「戻し」ちゃった本だもの、これも・・・。図書館にリクエストして自腹切ることなかったかもしんない・・・。内容で取り上げてある本がドーデモ本だからなぁ。せっかくの斉藤美奈子なんだから、もっといい本を取り上げて辛辣な小気味よさを味わいたかったなぁ。

最後だけど、文体っていうと堅苦しいけど、書き方っていうか言い方っていうか、口調が好き。これだけでも読めてよかったって気がする。

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