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愛知トリエンナーレ 見てある記①

電凸で幕開けした愛知トリエンナーレ、もっぱらの印象は電凸された作品に枠とられてしまっている感があるが、会場に足を運んだものとしては(芸術祭の開催地市民として表や裏をちょっと垣間見たものとしては)、そのほかの作品に素晴らしいものが多かったし、そこが語られないのはなんとももったいないとしか思えない。

何を見てきたか的、メモを少々。1日1作品。

旅館アポリア (喜楽亭)

最初に見た作品で、ドーンと一発一番印象に残ったものになった。

会場は料理旅館として、戦前戦中戦後と栄えた建物。戦前は養蚕業、戦中は海軍、戦後は自動車産業関係者の御用達の高級料亭。

2階建て、すべてを雨戸で締め切り、部屋ごとにこの建物の歴史とからまる時代の映像を流して見せる。

ある部屋では、神風特攻隊草薙隊が、任務に赴く前日この宿で過ごした。隊員の手紙が当時の写真の映像とともに写される。

またある部屋では、小津安二郎(宣伝部隊として南洋に派遣された)の作品や横山隆一(同じく宣伝部隊として漫画を多数残している)の作品とともに、激動の時代を映し出している。

作品の紹介にある通り、歴史の授業で学んだ通り一遍の(しかも後付けである)ことしか知らない私にとって、その時代の空気や複雑で相反する背景などが、映像とともに波打つような共感を呼ぶ。

映像作品はどちらかというと苦手だし、一番最初に行った会場で先を急ぐ気分満載であったにもかかわらず、全部屋の全映像を残すところなく見てきた。

この作品を、歴史の授業に取り入れてたら、と思う。教科書に書かれた遠い時代の関係ないこととしての戦争が、今ここにあると感じられるに違いない。

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