岸の柳
甥っ子がキッズ落語に参加してから、ひょんなことでご縁のできた隅田川馬石師匠。落語と言えば出ばやし、師匠の出ばやしは「岸の柳」だというのは弟が用意したCDで初めてわかった。なんのこっちゃ、って感じの知らない曲だったけど妙にタイトルだけは覚えていて…。リンクを読むと解るけど、師匠の名前つながりでこの曲にしたんですね、納得。
去年の秋、鯨ヶ丘秋まつりで商店会の各個店で「古民具」の展示がされていた。通りの様子をあちこち見ていたら山形屋さんという荒物屋さん(?)に古いレジスターが展示されていて、お店のおじさんに説明していただきながら眺めていたら、隣にSPレコードがあり、その一番前のレコードのタイトルをなにげに見たら「柳の岸」、いやそうじゃなくて「岸の柳」!昔のレコードだから右から読むのねレコードをよ~くみると、長唄と書いてある。いやびっくり。
その場は驚いた驚いたで、帰ってきた。ある日、というかある夜。スタジオボンズの2階の工房に用事があって出かけたら、そこに来たのが山形屋さんの若旦那Kさん。レコードを見つけてびっくりした話をして、厚かましくも「あれを1枚だけでいいから譲ってもらえないかしら」とお願いすると、「いいんじゃない?」
でも本当の持ち主はKさんのお父さんだから「お父さんに聞いて見てください」とお願いしておいた。
さてさて、先日またKさんとお会いしたとき「用意しておきます」とレコードの件を伝えてくださったみたい。今日お店に行って来ました。お父さんに「譲ってください」とお願いしたら「いやぁ、いくらだかも分かんないしあってもどうにもなんないから…。息子に聞いてみて」とのこと。
るんるんで帰宅の途中信号でそのKさんとすれ違い!ピッと止まって今レコードを預かってきた旨つたえ「譲って」とお願いしたら、戻って来た返事が感動もの。
「貴重なものは貴重だと思ってくれる所にあるのが一番」と頂けることになりましたぁ。ありがとうございます
で、問題はSPレコード。LPならプレーヤーは持ってるけどそれでは聞けない。そこで、蓄音機をもってるUさんを思いだし、またまた厚かましくもお願いしにうかがう。
竹の針できくSPレコードにかけ、録音をさせていただきたいとお願いすると二つ返事でOKをいただく。なんてラッキーな一日だったんでしょう!
6月は隅田川馬石師匠の落語会の3回目を開く予定。それまでに録音し、3回目はその音を出ばやしにしちゃおうかなんて計画中。この間は落語の本をいただき、今回は出ばやし。歴史と繁栄の街、常陸太田の証明のような出来事が続くなぁ。
岸の柳
<歌詞>
筑波根の姿涼しき夏衣 若葉にかへし唄ひ女が 緑の髪に風かをる 柳の眉のながめにそのあさ妻をもやひ舟 君にあふみと聞くさえうれし 締めて音じめの三味線も 誰になびくぞ 柳橋 糸の調べに風通ふ 岸の想ひもやうやうと 届いた棹に屋根舟の 簾ゆかしき顔とりを 好いたと言へば好くといふ あふむ返しの替唄も いろのてにはになるわいな しどもなや 寄せてはかへす波の鼓 汐の差す手も青海波 彼の西山の面影や 琵琶湖を映す天女のひかり その糸たけの末永く守りたまへる 御誓ひ 実に二つなき 一つ目の宮井も見えて掛け渡す 虹の架け橋 両国の往来絶えせぬ 賑はいも 唄の道とぞ祝しける
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