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むかしむかし~映画の感想⑲

2002年ごろ書いていた映画の感想

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マルホランド・ドライブ 

/主演/ナオミ・ワッツ 2001年 (予告編はこちら

難解というか不条理というか、?な映画だという評判通り。謎解きのBBSが映画公開後2年もたった今も賑わっているそうだけど、それも肯ける。デビット・リンチ監督は「観客はこの映画を直感で読み取るだろう」と言ったとか。私の直感的な印象は、2人の女性のラブストーリーだな、ってもの。

女優を目指して田舎の町から叔母の住むハリウッドへ生まれてはじめてきたベティ。留守の間借りる約束の叔母の家で荷解きをしていると、無人のはずの家に記憶をなくした美しい女性・リタがいた。リタの記憶を取り戻す手伝いをしているうちにものがたりは奇妙に時空間をよじれてすすんでいく。なぞを解く鍵らしいブルー・ボックスをリタがあけた瞬間,その箱に閉じ込められていたパラレルな時空間へ観客はスリップさせられる。

謎解きや深読みにはまれば、DVDでも買って何度も見直し、シーンの小物さえも何かの意味があるとはまっていくのも解る。いつもなら、そんな映画の見方をしがちな自分だけど、この映画では違った。なんて悲しいラブストーリーだろうって、想いだしても胸が痛む。

あやしい司会者が「お静かに」と幕をあげるステージで唄われる悲恋の唄こそが,この映画のクライマックス。その唄を聴きながら現実の世界では幸せになれなかった2人の女性が涙を流すシーンが忘れられなく印象的。

タイトルの「マルホランド・ドライブ」と言うのは、実在のハリウッドの通りの名前。真夜中に若者が暴走したりギャングたちの死体遺棄の場所として有名だとか。ハリウッドの夜景を見下ろせる曲がりくねった暗い道、荒涼としたところもあるが、ハリウッドスターなどしか住めないような超高級住宅もあるという。暗闇の中をうねうねと続くそんな道は、人の心の闇の中をたどる道のりの象徴なんだろうと思う。

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