2002年ごろ書いていた映画の感想
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死ぬまでにしたい10のこと
/ 主演 サラ・ポーフィー 2002年 (予告編はこちら)
夢もなにもない、毎日目の前に起こることを片づけて生きてきた23歳のアン。ある日腹痛で倒れ検査すると余命2ヶ月の進行癌と宣告される。底辺で生きてきた自分と家族のことを思い、病気を打ち明けないことを決意する。そして、死ぬまでにしたいことを夜のカフェで書き出してみた。10のリストができあがった。アンはそれらをひとつづつ実行していく。
「死」なんていう状況設定をする物語なんて、きわものっぽくて、一歩引いて用心しながら見るに限るって思っていた。死ぬまでにしたいことが10、それがあまりに何気ないことで、それゆえに主人公アンの暮らしのつつましさに想いがいたる。
毎日娘に愛してるよという
家族でビーチに行く…
幸せってどこか遠くにあって、何かを越えないと手に入らない、そういうものではなくて、こういう毎日にこそあるんだ。そうやって毎日を生きることが、よい死につながる。生と死は断絶ではなくてつながっている同じものなんだ。
「夫以外の男性とつきあう」10の中にあるこの項目は女役割の中に閉じ込められた女性がこころの奥底に持っているもの。「誰かが私に夢中になるように誘惑する」は女性として生きることとセットになって刷り込まれているもの。誰かが愛してくれないと私は幸せになれないという刷り込み。自分を犠牲にして誰かの幸せを願うという生き方も、女の役割の中の大きな部分だろう。いつもならこんなジェンダーバイアスばりばりの映画は見ていると腹が立ってくるんだけど、これは見ていてす~と涙が出てしまう。切ないなぁ。
おまけ
映画を見るときはなるべくパンフを買ってくる。この映画のパンフは、アンが10のことを書きだしたノートと同じ大きさになっている。色もショッキングピンクで同じ。ちいさなパンフってちょっとめずらしくかわいい。でも、ここまでやるならパンフの中に罫線だけのページをつくってそこにパンフを買った本人の10のことを書けるようにしたらよかったのに…。