2002年ごろ書いていた映画の感想
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幸せな孤独
/デンマーク映画(予告編はこちら)
結婚前の幸せいっぱいのカップルだった、ヨアヒムとセシリ。しかし、ヨアヒムはセシリの車から降りた瞬間に事故に遭い、首から下の身体が不随になってしまう。絶望したヨアヒムは心を閉ざし、セシリに冷たくあたる。セシリは事故を起こしたマリーの夫で、ヨアヒムが入院する病院の医師でもあるニルスを頼るようになり、いつしか二人は引かれあうようになってしまう。一つの事故が2組のカップルに大きな亀裂をもたらすというストーリー。
ストーリーは見ていて不快を感じるほど、どうしてそうなっちゃうんだという方向にすすんでしまうが、ラストに救いがある。2組のカップルそれぞれが一人で生きていくことを選択する。ここでタイトルが生きてくる。
孤独は不幸だというのがどこの国でも共通の認識なんだろう。でも、孤独は不幸せではない。この映画の展開から言ったら、「孤独から幸せへ」だろうし、だからタイトルが「幸せな孤独」なのだろう。一人で、誰にも依存しないで生きること、そうやって生きていけることに気がつけることはなんて幸せなことだろう。
寂しさを埋めるために「誰か」を利用するのではなく、愛するために離れて生きること、そういうのが本当の愛かも、って思った。村上龍の「最後の家族」のラストを思い出させる。
自分の状況を理解したヨアヒムが見せる絶望の目、いつか見たことがある目だった。