2002年ごろ書いていた映画の感想
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イン・アメリカ
/ 主演 サマンサ・モートン ジャイモン・フンスー 2004年
/ サンダンス国際映画祭 オフィシャル・プレミア・セレクション (予告編はこちら)
二人姉妹の妹、アリエル役のエマ・ボルジャーが愛らしい。あんなに表情豊かに自由にいられたらどんなに楽しいだろうとうらやましくなる。自分自身は姉のクリスティに近いかもって思いながら見た。
他の映画を見たときに予告編を見て、見たいとは思ったが、恐ろしくて見られなかった。「喪失」の映画だったから、しかも病気で子どもを失った家族の再生をテーマにしてると聞いては、自分の経験と重なる部分が多くて足がすくむ。そういう映画をやっとみることができた、そのこと自体がうれしくて、映画にも泣けたけど自分自身にも泣けた。
自分の心の中に、自分自身ではない誰かが住み着いてしまった、この映画では幼くして脳腫瘍でなくなった長男。自分自身の中に、どんなに愛する人であっても他者が住んでしまうと心は平静になれなくなる。
この映画も、先日見た「21g」も、光を見つけるには悲しい出来事を経ないと見つけられないという。砕ける、壊れる、失う・・・そういうことは恐ろしいから、なんとしても避けたい・逃げたいのだけど、逃げると逆に自分の心の中に住まわせてしまうことになるんだ。避けないで、逃げないで向き合うと、粉々に砕けたこころが、その砕けたかけらに比例して輝いていることに気がつく。
この映画もラストで、さようならをいうシーンがある。スイミング・プールのような穏やかなさようならの手の振り方ではないけれど、涙でぼやけた月に向かって手を振るのも、なんだかうれしくなるようなさようならだった。
エイズで亡くなるマテオと子役の二人が魅力的。