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むかしむかし~本の感想⑰

2002年から2004年ごろに書いていた本の感想

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万葉線とRACDA高岡5年間の軌跡  
           
       編著・発行 路面電車と都市の未来を考える会・高岡  ¥1500
日立電鉄が唐突にちん電の廃止を決定し、存続を願う動きがいろいろ出てきた。2004年4月24日市内で行われたちん電の存続を願う高校生たちの学習会後の意見交換の場で紹介された本。ちん電の存続を願うサイトの運営のお手伝いをしている関係で購入し読んでみた。文章は読みやすいが運動に関わった人物がたくさん出てきて、覚えるのが大変。(覚えなくても読めることは読める)これが宮部みゆきの小説なんかだと人物描写がしっかり入るのでどんなに大勢登場人物が増えても大丈夫なんだけど…と妙なところで小説の読みやすさを感じたり…。

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交通弱者(この弱者って言葉は嫌いだけど、でも解りやすいのでつい使っちゃう)のためにも、今ある公共交通機関をできるだけ有効に使うにはどうしたらいいのか?ちん電を残したいとは思っても、一市民の自分ができることってあるんだろうか?一市民の小さな力だけじゃ資本や経済の論理に勝てるわけがない、など目の前に立ちはだかる壁をクリアするには具体的にいったいどうすればいいんだろう?そんな疑問にどうぞ。この本を読むと何かが見つかります。

廃止が決定的だった路面電車・万葉線が存続に至った経緯を、時の流れを丁寧に追うレポの形で書き表してあります。6章からなる本の構成は、1~4章しのびよる廃線が存続決定されるまでのいきさつ。5章は一転して存続が決まったものの、存続決定は逆に市民運動としての存続という目標を失うことでもあり、そこからの市民運動の深め方を追ったもの。「『自治体と企業』を第3セクター、『自治体と住民』を第4セクター、『住民と企業』を第5セクターと言うなら、万葉線は新しい3セクを目指す」。そして6章は「万葉線を活かしたまちづくりへの挑戦」となっています。

ちん電の問題も一私鉄の存廃という見方ではなく、まちづくりとしての視点、さらに一人の人間がある問題に面した時、その問題にどう対処・行動するのかという生き方を問われる視点、移動の自由の確保という人権問題まで様々な視点で広がりを持っていく必要があるのでしょう。今地元の高校生たちが懸命に存続のための行動を起こしています。その行動はたとえちん電の廃止が決定になったとしても、必ずその子達の中に何かを残すに違いないのです。

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