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9月26日 三回忌

992c330e.jpgまいづる塾生だったSさんが急逝してもう3年目になる。

急逝というか、自殺だったことをもう語ってもいいはず。亡くなったのはおととしのクリスマス。いつもの通り塾生宛に出したメールがSさんのだけあて先不明で戻ってくることが続いて、心の中にざわざわとしたものが起こったあの感覚がリアルによみがえる。

ご実家へ塾生6名でお線香を上げにいったんだった。一面の雪景色の山形平野。一人残されたおばあさんがいたましくて。そこで見せてもらったSさん最後のメッセージをみんなで読ませてもらって、忸怩たる思いとはこういうことかと悔しかった。

人に弱みを見せられないとでもいうのか、人の世話になることをかたくなに拒否している彼の性格で、どんどん自分を追い詰めていってしまってたんだなぁ。一緒に街づくり活動をしてきたのはいったいなんだったんだろう。どうしてもう一歩彼の生活の中に踏み込めなかったんだろうと今でも悔やまれる。

リストラ担当者なんていやな役回りだっただろうなぁ。大勢リストラして、最後は自分で自分が許せず会社を辞める、そんなドラマみたいなことがあちこちで起こった時代だったんだ。×1とは聞いていた。あったことのない一人娘がいるとも。相続の関係でその別れた奥さんや娘さんにお会いし、娘さんが相続することになったお住まいの片づけを手伝ったんだった。

主のいなくなった家の片づけを手伝っていて、この家は売られてしまうのだろう、それもしょうがない、と、思っていた。ところが、同じ団地に住む友人から「Sさんちにお嬢さんが引っ越してきたよ」と聞いてびっくり。お嬢さんがご近所にあいさつ回りに来たのだそうだ。

ご挨拶に行くと、大学を卒業後水戸に就職し、仕事の合間にこの家の片づけをしようと思っていたがはかどらないので、どうせだ「住んじゃえ」ということになったのだそうだ。縁がないわけではないお嬢さんと、ぜひ一度お食事会でもご一緒にと誘ってみた。遠くの親戚より近くの他人って言うじゃない。Sさんとの付き合いでは後悔が残った、今度は後悔しないお付き合いをしたい。たった一人で知り合いもない常陸太田に住んでいる女の子一人、つながりを作れないで街づくりやってますなんていえないもの。

やめてしまったまいづる塾だけどあちこち声をかけ、人を募って「Sさんの思い出を語る夕べ」と市内のレストランを予約した。みんなに思い出の品を持ち寄っていただく約束で。

shigihara

Sさんのお嬢さんを囲んで、思い出を語るそのエピソードがみなそれぞれに違っていて、Sさんの人となりがその思い出をつなぎ合わせてミラーボールのように形になっていく。お嬢さんのためにと思って開いた夕べだったけど、まいづる塾のみんなにとってもとてもいい時間だった。Sさんの亡くなったいきさつについては、みんな思うところたくさんあってそれぞれが胸の中でつかえのようになっていたんだ。それが楽しい思い出を語ることによって少しずつ少しずつ昇華されていく。

Sさんの残してくれた新しい出会いに感謝した夜だった。

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