久々に一気読みをした・・・。評論なんかはよく読んでいた橋本治、そういえば読み物として読んだことってなかったなぁと改めて思った。「純文学」が売り文句だという、ふ~ん。
昭和の時代の鎮魂歌/叙情詩を読んだ気分。ラストまできて「巡礼」というタイトルを深く感じながら,遠い道の先の光を見たような読後感。
主人公は昭和一桁生まれの男、父親の世代。その時代を自分も生きてきたように感じるリアリティあふれる人物像そして時代の空気。ディテールを緻密に書くことでこんなに人物が浮き立つなんて、驚き。評論を書いているときの橋本治の筆致そのままで、突き放したような表現なんだけど、実在の人のようにリアルこの上なく人が立ち上がってくる。
戦後の日本にどこにでもいたような、まじめな男がどうしてゴミ屋敷の住人になっていったのか、人生という道の分岐点って、ほんのささやかなディテールの積み重ねで大きく違った地点にたどり着いてしまうのかも・・・。でも、ゴミ屋敷の住人の精神というか気持ちの動きが手に取るように理解でき、その理解できることが「男」と読み手の立つ位置も遠くないことに思い至ってしまう。
ゴミ屋敷の片付けからの後半は、胸の中にさざ波がたつような感動を呼び起こされ、最後は救いを感じて本を閉じることができた。そのままもう一度読み直したい衝動もあり、ちょっとした興奮状態にある。対になるという「橋」や似たような「蝶のゆくえ」も読んで見ようっと。
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おもしろそー!
次の日眠くても一気読み出来る本と出合える幸せってあるよねぇ!
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貸すよぉ、読む?