西川 美和の「ゆれる」の心理描写がすごい。
ゆれる
人が行動し話すことの内側で、どのような感情が渦巻いているのか、そのすべてを言葉に置き換えてみたらこんな作品になった、と思える。特に兄・早川稔と川端智恵子の語りの部分は圧巻としかいいようがない。表向きの笑顔や態度の裏に潜む計算・・・、またそのことにそれぞれ気づいている怖ろしさ。人はほとんど、内面でそのような計算を行っている事に気づいていない、あるいは見ないフリをしている。なぜなら、そのことは自分の醜さと向き合うことになるから。このふたりはその自分の表と裏、表面と内部の違いにかなり敏感である。そしてその表と裏の違いがすべての人にあることを知った人間は、周りの人々を計算で操作できることにも気づいている。
オダギリジョー主演の映画化の方が先だったようだが、こちらに配給されるのかどうか未定のため、いつものように原作を先に手にすることになってしまった。原作を読んだ後映像に出会うとほとんどが拍子抜けすることが多い。オダギリや香川の演技はどんなものか、原作を読んだが上の期待がある。上京して観る価値あり、かも。