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浅草~鯨肉専門店 勇新

0211asakusa

私たちのやろうとしているcafeの大本の事業は県の補助事業でがんばれ商店会云々というもの。今年度中に終えないといけない企画の中に「特産品開発」もあり、その一環として鯨の肉を用いた料理をなんとかしようという動きが活発。

スタジオボンズを仕掛けた仲間たちがその研究をしていて、鯨の肉のおいしい店に市内の料理店関係者なども含めた視察があり、同行した。

Fさんたちの足を引っ張るつもりはないが、鯨の肉を食するということに関しては自分は気持ちが乗らない。視察も当初は行かないつもりだった。でも、私たちのカフェでもいつかは鯨を使ったメニューの取り組みを、などとお話もいただいたので、先日思うところをメールで差し上げておいた。以下はそのメール。

>>>>>鯨が丘倶楽部の皆様

視察参加できず申し訳ありません。

いつかお話しようと思っていたのですが、今朝の朝日新聞の投稿を読んだのを
きっかけとしてお話する気になりました。
皆様が向かっている方向性に対して足を引っ張るつもりはなく、
ただ自分が感じていることをお伝えしたいと思います。

捕鯨に対する諸外国の反対のニュースは非常に感情的&非民主的で
議論と呼べるものではなく、理不尽な思いさえ持っております。
一国の文化に対して、それが理解できないものであると
後進国扱いあるいは非文化的扱いをするというのは
欧米の文化の横暴と言ってもいいと思っております。

文化というものはその地域の歴史風土が長い時間をかけて
つくりあげてきたものであって、それを単に今現在の価値観で
どうこう批判できると思うこと自体不遜であります。

文楽の道具にクジラのひげが最もふさわしくまた代替できるものがないという、
そういう用途に鯨が使われることに対して
もっときちんと欧米の捕鯨禁止を訴える団体は耳を貸すべきであると
思ってもおります。

ただし、その鯨をめぐる文化に対して私自身の立ち位置は
かなり隔たった所にいると思っております。
自分の中に、鯨を食べておいしかったと思った記憶はありません。
思い出があり、その思い出が自分の生き方と重なる人たちには
鯨を食する文化を訴えられると思いますが
それはそのような文化背景を持つ人、もつ地域に限られると思います。
私にはそれはなく、ゆえに新たに鯨を食べる、
あるいは鯨を食材としたメニューを考えるという気持ちもありません。

今回補助対象となった企画の中に、特産品開発があったにせよ
現物としての鯨肉ではない方法は考えられないのでしょうか?
鯨やきのような、愛らしいシンボルとして鯨を扱いながら
いっぽうでそれを食べるということに対しても気持の整理がつきません。

鯨が丘クラブの皆様の中にどうしても「鯨を食べたい」という
モチベーションがあるのでしょうか?
特産品開発という外部から来た動機が自分自身の動機と
きちんとかさなっているのでしょうか?
「食べたらおいしかった」では文化としての主張にはなりえないと思います。

いったん踏み出した道をとどまるということ、
多分それが一番難しいことではあると思いますが、
立ち止まって本当に食べたいのかと振り返って見る勇気も
皆さんはお持ちなのではないかと…。

反対の意見をこのように出せるのは
本当の「仲間」であるからこそと思いながらメールしました。

>>>>>

こんなメールをあげても今までと同じように仲間として接してくれる
Fさんたちを尊敬するし、そういう仲間に囲まれた自分の幸いも感じる。
ただし、意見を言ったからには視察も参加し鯨肉も食べてみないといけないと
カフェ仲間のKさんにいわれて、参加することにした。

実際食べてみた感触は、残念ながらおいしいといえるものではなかった。
「残念ながら」と形容する意味をちょっと説明したいなぁ。

というのは、この鯨を用いたメニュー開発に対して
Fさんたち思いは純粋で混じりけのない真摯なもの。
ただただ、太田の活性化のための一つの手として
鯨がどうかと真剣に考え、そして行動した結果の鯨の肉のメニュー…。

食べたらおいしかったから、メニューに入れるという転換は
自分の中にはあり得ない。
メニューに入れないのはおいしい/おいしくないという次元の理由ではないから。
ただ、Fさんたちの希望に添う人たちにとってはその思いが叶うように
「おいしい」ものであってほしいと願ってもいた。

それが思いのほか、人に伝えられるほどのおいしさを感じなかった、
ので、「残念」という表現になった。

鯨の肉を食べに行くと言ったら「オーストラリアからミサイルが飛んでくるぞ」と
笑った友人がいた。特産品として大々的に開発するという対象として
大きなリスクもあることはわかっているらしい。
だとしたら、いつの間にか好きな人が増えてしまって…のような
静かな売り込みの方がいいのかなぁとも思う。

複雑な感想を持った視察でした。

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