気になるTV③ TV笑っていいとも~彼氏が彼女に着替えたら
お昼の情報番組、笑っていいともの中で面白いコーナーをやっている。付き合っている二人、カップルの男の子に女の子の服を着せて登場させ、どれだけかわいいかで賞金が出るというもの。その曜日のレギュラーメンバーが1~5の札を上げてかわいらしさを評価し、得点×1000円をゲットできる。
彼女の服を着た彼氏が額縁状のセット(始めはカーテンが下がっている)の中のいすに座って登場する。しっかりとメイクされ、鬘もかぶり、ポーズを指定されている男の子。その男の子をタモリが毎回、スカートの中をのぞくようなしぐさでからかう。決まったようにスカートのすそを押さえて「恥らう」男の子。これを見て、う~ん、思った。男の子はどうして恥らうのか?
スカートと言うものをはいてみるとわかるのだけど、あんなに安心できない洋服はない!風が吹けばパンツ丸見えになるし、危なっかしいことこの上ない。タイトスカートなんぞは、何かをまたごうとしても、足が開かない。どぶをまたごうとして、足がどぶの巾まで開ききらず、危うく踏み外しそうになった経験がある。たまにスカートをはくと、動作が服装についていかないのだ。下から覗かれる危険だってある。(誰も見ない、って突っ込みは無し)電車に乗ったときにひざを緩めないように気を使うけど、Gパンはいたときは、そんなことまったくそぶりもしない。
スカートを(多分、だろうなぁ)生まれて初めてはいた男の子は、覗かれる危険から身を守る、スカートのすそを押さえることなんか、動作として身につけてるはずないじゃないか?どうして、そんなにスムーズにスカートを押さえるの、君たち?
男らしいしぐさ、女らしいしぐさというものは、そのしぐさに該当する性別のみが刷り込まれるのではない。女の子が「キャー」とか言ってスカートを押さえるという場面を(恥らうようなしぐさをしながら、そのしぐさの影響力を計算している女の子もいるんだなぁ。ジェンダーって使いようかも)目にしたこと、誰にでもあるだろう。そのしぐさが「女」の付属品ということは、それを目にした男の子、女の子両方に焼き付けられるのである。すべての「らしさ」は男女ともに共通の概念として埋め込まれるのである。
女の子に扮装した彼氏は、女の子という概念も服装とともに身につける。そして、女の子らしく振舞うことを、会場で見ているお客・出演者に無言のうちに要求されていることを感じ、「恥らう」のだろう。タモリが恥らう男の子をみて、「何で恥ずかしがるんだろう?」と笑う。彼が言いたいのは「中身は男のままなんだから」というものだろうが、彼氏は役割に忠実に「女の子らしさを演じて」いるんだよ。
それとも、服装にはそういう中身を変える力があるのだろうか?確かに、服装は行動を制限する。着物を着れば、それなりにおしとやかになる。(書きながら、今は違ってきてるなぁって、思うけど)タイトスカートをはけば、ドブに限らず何かをまたぐなんていう「はしたない」ことはしなくなるだろう。でもそれって習慣になると、であって、瞬間的に行動が変わるというほど大きな力を持つものではない。大きな力を持たないからこそ、気づかないうちにじわりじわりと行動及び思考を制限する力として今まで使われてきたのではなかったか?