2002年ごろ書いていた映画の感想
*****
北京ヴァイオリン
/ 主演 タン・ユン(唐韻)、リウ・ペイチー(劉佩奇)他 2002年
/ 2002年サン・セバスチャン国際映画祭最優秀監督賞
最優秀主演男優賞(リウ・ペイチー) (予告編はこちら)
「中国の今はこうなんだ」素朴にそう感じた。古きよきアジアをとどめていたのは、遥か昔のことで開発と近代化の波にもまれ、貨幣経済によって様変わりしてしまった中国の印象が一番強かった。
ものがたりはヴァイオリンの名手の一人息子をどうにかして中央の晴れ舞台に押し出そうとする父と、大都会北京で「音楽は心の表現」となるために様々な出会いを通して、美しい音色を響かせられるまでの息子の心の交流を描いたもの。
中国の映画は、懐かしいせつなさにあふれていて、好きなんだけど、このところ繊細綿密な映画を見つづけたせいか、シナリオの荒っぽさが目に付いてしまう。近代化・お金お金といく流れに掉さして家族愛の美しさ大切さを訴えたいのだろうけど…。ちょっと流れが乱暴かな。キャラの設定もかなり紋きり調でイマイチ感情移入できない。
主演の息子役はヴァイオリンのコンクールでスカウトされたそうで、映画の中の曲もほとんどは彼が弾いている。演奏の時の表情と演技の時の表情にギャップがあるが素朴さを残していてはまり役。父親とまるで似てない風貌はストーリーを反映するもの。
役柄が音楽教授の家にその音楽教授の写真が飾ってあって、妙にその写真のポーズが撮られなれている、はまっているなぁと思ったら、教授役を演じているのは監督自身だった。写真うつりの堂々さ加減はマスコミに登場してきた監督の自信の現れだったのだと納得。
職にも就いている様子もないのに、やたら金遣いの荒い、いったい何で食べてるのかと思える美しい女性リリ役の女優さんが藤原紀香そっくり。