2002年ごろ書いていた映画の感想
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息子のまなざし
/ 主演 オリヴィエ・グルメ (公式HPはこちら) 2002年
/カンヌ国際映画祭主演男優賞・エキュメニック賞特別賞
ファジル国際映画祭グランプリ・主演男優賞
ベルギー・アカデミー最優秀作品賞・主演男優賞 (予告編はこちら)
見終えても何も語りたくない。この映画について何かを語ると、語ったことと語らなかったものの間のずれが、語ったのは自分なのに埋めようがなく、語るのをやめるしかこの映画を伝えることはできないと思えてしまう。
ラストシーンのために、もう一度見たいと思った。自分が許されない痛みを与えてしまった相手の前に、ああやって「たつ」こと、そのシーンのために。
おまけ
実家が製材業を営んでいたので、背景の木工作業の現場の風景が懐かしい。木材を切るときの音が画面から響いてくると、その切っている木材の振動が手に伝わり、木の断面の大きさに比例して強くなる香り。ラストシーン、二人で木材を車に積み、ロープを掛けシートでくるむ、すべての動作に身体の記憶が呼び起こされた。懐かしい思い出。