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むかしむかし~本の感想⑨

2002年から2004年ごろに書いていた本の感想

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あらしのよるに(1~6巻) / 木村裕一 各¥1000
ある激しい嵐の夜、山道に迷ったやぎがまっくらな小屋で休んでいると、誰かが逃げ込んできました。たったひとりでこころぼそかったやぎはほっとして、その誰かに話しかけ意気投合して友達になります。そして嵐がさった夜明け前、次に会う日を約束して別れます。その誰かはオオカミだったのですが…。

大人はつい深読みをします。相手が誰ともわからない真っ暗な中で友達になる、それって人間関係そのものです。初めましてって会った人を、見た目でこんな人に違いないって「闇夜」をつくっているのは実は自分の先入観で、目に見えるものが逆に相手の心の奥底のやさしさを隠してしまうこともある。

その後のやぎとオオカミは、「あんな奴と友達だなんて」と、仲間から非難されます。他の人と違うこと、違う意見を言ったり、感じ方をすることはなかなか受け入れてもらえないんですね。この絵本の二匹が感じている息苦しさは日本の社会の閉塞感なのでしょうか。

シリーズ全6冊が最近完結しました。これは本当の友達・パートナーとめぐり合えた幸せな二人の友情物語、ラブストーリーです。オオカミになりきって読み終えた私は、ラストうるうるしてしまいました。「あなたに出会えて本当によかった」っていえる友達いますか?

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