2008年の国民文化祭が茨城県で開催、その企画委員の中で広域交流部会の視察に新潟県へ行く
。視察先は大地の芸術祭。この芸術祭のアートプロデューサーが北川フラムさん。北川さんは茨城県で行う国民文化祭(以下国文祭)での広域交流部門のプロデューサーでもある。
去年11月に先催県である福井県の国文祭を視察した時は、国文祭にいいイメージがもてなかった。国文祭は国体の文化版、国を挙げての文化の祭典という位置づけらしい。でも、たとえば福井での公募美術展は「これが日本最高の文化?」という印象が強かった。県内のアマチュア作家の応募作がずらずらと展示してあるだけ。
吹奏楽の祭典はさすが日本一の演奏はすごいとは思ったが、会場で聞いている人はほとんどが演奏する団体の関係者ではないかなぁ、ってところで、この催しを行っても福井に住む人がどれだけ関心を持っているのか、このイベントをやって「福井ってすごくいいところだなぁ」って誇りをもてるかどうか、疑問が残った視察だった。
茨城県でも着々と準備しており、広域交流部門での会議も開催市町村の担当者を交えた会議を重ねていた。が、いまいち国文祭をやる、広域交流に力を入れる(この部門は茨城県で初めて取り組むもの)感覚が当の市町村担当者から伝わってこない。
秋にそれぞれの地域で行われていたイベントを2008年だけ「国文祭」の冠をつけて済ませちゃおうって感じまで見える気がしていた。
そんな中、北川さんが行っている大地の芸術祭が、茨城県の広域交流部門でイメージしている催しに近いものがあるから視察に行こうということになったもの。大地の芸術祭の資料を見せていただいたのは先月の会議。その時、この文化祭は自腹で見に行こうと思っていたから、視察があると聞き即参加申し込みをしておいた。
さて、今日はその出発の日。視察のバスに乗り込んで自己紹介など聞いていると、実際に行う市町村の関係者の参加がとても少ない。企画委員では委員長の蓮見先生(つくば大学)と私だけという寂しさ。こんなんでいいのかと思いつつ新潟十日市市に昼すぎに到着。そのまま大地の芸術祭を見て回ることになったんだけど、これがすごい。
写真は日本大学芸術学部の先生の作品。住む人のいなくなった過疎の村の空き家を作品として作り直した空き家プロジェクトの目玉作品。家中を壁といわず天井から床まで全部彫刻等で削ってある。すっすっと削った後が右側の柱に見えるだろうか。天井裏の梁も、下駄も、木製のいすも何から何まで削ってある。不思議な感動がある。靴を脱いでその木目模様の上に立つと、足の裏に削ったあとの感触が伝わってくる。二階の一間の中心あたりに、ここから削り始めたという「へそ」のような「つむじ」のような中心渦がある。
現代アートというと「なんだかよく意味のわからないオブジェ」や「作家の自己満足」のようなイメージがなかったといったらうそになる。でもここで目にする作品は何か得たいの知れない感動を呼ぶ。(つづく)