子育てが一段落して、趣味をいろいろ広げていたころ、手織りの教室の見学をして、そこの主宰者の生き方を聴き、自分の来し方をいろいろ考えたことがあった。
そこそこ(あくまでもそこそこ)できたので、進学校に進んだのはいいけれど、学びたい意欲と自分の好きなことは=ではなくて、せっかくの思春期に深く考えることもなく、流されるままに受験して挫折してくじけちゃった10代ラストと20代のほとんどを、思い返せば悔やむことばかりで・・・。
その20代はただ趣味/習い事しか楽しみが無かったような記憶。音楽とお茶とお花とそのほかのこまこました遊びの中に、蔵書票をゴム版画で作ったり、和紙でとじたノートを作ったり。今なら、ハンドメイドの雑貨イベント大流行だけど、その頃はそんな「場」もないから、ひたすら自己満足。
手織りの教室の先生も、後から詳しく聞くと、最初からその道へ進もうと思っていたわけではなかったそうな。それでも、かなり若い時期から手織りというものに「出会えて」その道を進めたということに、なんともうらやましく思ったものだった。
そういう思いの反動からか、子育てに一段落したころから趣味の習いものに掛ける時間が広がり、気の向くままにあれこれ習ってきた中で、昔自分はこういうことが好きだったんだったと思い出したのは、本の装丁と今回参加の活版印刷だった。
思い立ったが吉日とワークショップ参加申込みをしたのはいいけれど、会場は国立!?武蔵境なんて小さな駅に一度だけ大学見学でおりたことがあるくらいで、東京の田舎なんて、世代違いの感覚しかない町。東京から40~50分もあればつくだろうと思っていたら、なんと遠いことか。1時間はゆうにかかった。
遅刻気味でたどり着いたのは小さなギャラリー、国立本店。8畳間もないほどの狭い空間の中央に活版印刷の機械がどーーんと設置。先について作業をしていた人が既に印刷をしている。
判型を組み、樹脂でつくった図柄を貼り付け、活版印刷の機械に設置、ガシャコンとプレスしては1枚仕上がりという作業は、正味10分もかからない。10名弱の参加者たちがそれぞれ用意した図柄を印刷するのを眺めていた時間の方が長かったか(*^_^*)
判型を組むとき、説明してくれるのは主宰者の九ポ堂さんの先代さん、にこやかに活版印刷の苦労などを語りながら教えてくださるその雰囲気がとても良かった。
オリジナルでつくっている「商店街」シリーズの絵はがきが素敵。こういう絵はがきをカフェオリジナルでつくって見たい。さらに、鯨ヶ丘の商店会有志でこんなしゃれた絵はがきを作ったらとてもいいのになぁ。
楽しい時間はあっという間、東京まで戻る時間を考えそそくさと会場を出たら、正面に都会っぽい八百屋さん。茨城だったらおしゃれなカフェでもやれそうなつくりの店に野菜が並んでいる。野菜のような単価の安いものを売って、これで商売が成り立つなら、常陸太田だって何とかなるんじゃないかと思っちゃう私は、考えが足らないのか?
塩こうじも売ってました。「この麹は生きてます」の意味が分からず、帰って味噌やさんに訪ねたら「酒精」を入れると発酵がとまるのだそうだ。スーパーなどで売っているものは、発酵し続けるとこまるので、酒精が入っていると。なるほどね。