徳島国民文化祭に視察、今回で視察は3回目になる。毎回総合プログラムを見ながら視察先を委員各自が考えることになっている。今年も同じようにプログラムを見ていたら北川フラム氏のかかわっているイベントがあった。上勝アートプロジェクト。「越後妻有大地の芸術祭」の上勝町版らしい。即決でここを視察先と決める。
去年やはり国文祭の企画委員の視察で訪れた越後妻有は、いままで見たイベントの中で最高のものだったと今でも思う。昔常陸太田から里美にかけて行われたクリスト・アンブレラ展の超拡大版として、自分の中の物の見方考え方が大きく変わった記念すべき視察先だった。それがところ変わって四国の山の中で行われているらしい。ほんとに山奥らしい地図を見ながら、電車ではいけそうにない位置なので、委員用に用意していただけるレンタカーを自分で運転していくつもりで、地図など用意して徳島へ。
例年通りの開会式は今年はパスして、近くでやっている蛍関係のイベントを見に行こうとも思ったんだけど、流れで開会式を見に行くことになってしまう(チョイと意志薄弱)でもって、開会式はいつも通り、皇太子・皇太子妃ご夫妻がご臨席、しかも雅子さま久しぶりのご公務ということで、セキュリティチェックも毎度大騒ぎの入場は、それでもかなりスムーズではあった。
微妙な間のある式典や、合間を取り持つ狂言回しがNHK教育TVのようなノリで苦笑させられた。が、しかし!圧巻は阿波踊り。10000人規模のドームの平場を埋め尽くすような人・人・人。お囃子のチンの合図で緩急が大きく動く曲に合わせて見事に揃った踊りは見ていて本当に感動的だった。
さてさて、翌日はお目当ての上勝町。町おこしとして刺身のつまに使う「葉っぱ」ビジネスで今や日本一という町で行われているアートを見に出かける。最悪一人かもと思っていたが副委員長の筑波大学蓮見先生他総勢4名で楽しい道中。午前中シンポジウムを聞き、昼から町内に点在する作品を見て回る。
自然豊かな上勝町の里山をフィールドに、世界的なアーティスト5人と地域住民を中心とするサポーターの協働により制作された屋外アート作品を体感、作品をつなぐスタンプラリー「上勝通行手形」を購入し、スタンプを集めると町の特産品が当たるチャンスもあるらしい。このあたりは妻有のやり方そのまま。作家によるシンポジウム交流会では山と海の幸が堪能できる「食の祭典」も行うそうだけど、申込みが遅くアウト。
「トポス彩2007」 たほりつこ
町民が野焼きで作ったという大量の植木鉢が棚田の隣に出現する。植木鉢の間には象形文字が描かれているというがかなりの高度から見下ろさないとよく読めない。毎回のことだが、作品が作られることで周りの風景が際立っている。北川氏の行うアートプロジェクトは、作家が作品を作るのではなく、そこの住民とともに作ることで住民のエネルギーを吸収してきた過程が想像でき、それが作品の力となった感動が伝わってくる。
周りのあぜ道に、道整備の折あっという間にアスファルトの下敷きになってしまい、オブジェと化したトカゲを発見。作品の中に置きなおして、自分も作品作りの一部に参加できた気分。