巡礼~橋本治


巡礼
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久々に一気読みをした・・・。評論なんかはよく読んでいた橋本治、そういえば読み物として読んだことってなかったなぁと改めて思った。「純文学」が売り文句だという、ふ~ん。

昭和の時代の鎮魂歌/叙情詩を読んだ気分。ラストまできて「巡礼」というタイトルを深く感じながら,遠い道の先の光を見たような読後感。

主人公は昭和一桁生まれの男、父親の世代。その時代を自分も生きてきたように感じるリアリティあふれる人物像そして時代の空気。ディテールを緻密に書くことでこんなに人物が浮き立つなんて、驚き。評論を書いているときの橋本治の筆致そのままで、突き放したような表現なんだけど、実在の人のようにリアルこの上なく人が立ち上がってくる。

戦後の日本にどこにでもいたような、まじめな男がどうしてゴミ屋敷の住人になっていったのか、人生という道の分岐点って、ほんのささやかなディテールの積み重ねで大きく違った地点にたどり着いてしまうのかも・・・。でも、ゴミ屋敷の住人の精神というか気持ちの動きが手に取るように理解でき、その理解できることが「男」と読み手の立つ位置も遠くないことに思い至ってしまう。

ゴミ屋敷の片付けからの後半は、胸の中にさざ波がたつような感動を呼び起こされ、最後は救いを感じて本を閉じることができた。そのままもう一度読み直したい衝動もあり、ちょっとした興奮状態にある。対になるという「橋」や似たような「蝶のゆくえ」も読んで見ようっと。

蝶のゆくえ (集英社文庫 は 12-5)
蝶のゆくえ (集英社文庫 は 12-5)
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橋

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邪悪なものの鎮め方


日本辺境論 (新潮新書)
日本辺境論 (新潮新書)
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ちょいと前に日本辺境論をよんで内田樹の本にしては珍しく「?」になってしまっていた。

で、多作の内田さん、そろそろひけどきかなぁなんて感じていたんだけど、「邪悪なものの鎮め方」を読んでまたもしばらく追っかけようと思い直しました。書き写したくなるような文章がいっぱい。
邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)
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ゴールデンスランバー


ゴールデンスランバー
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映画見てきました。伊坂幸太郎は村上春樹や内田樹かもしれない、と思った。

映画のCMを見ている限りは、ミステリーとかサスペンス風(なんだか古い言葉だなぁ)。でも著者が書きたかったことってそんなハラハラどきどきのストーリーではなくて、吉岡秀隆演ずる森田の台詞「イメージだよ、イメージ」とか、「信頼できるものは習慣」というそのことなんだろうと思う。

映画のCMは首相暗殺犯に仕立て上げられた男がどうなるか…つまりどう解決するんだろうって思わせるけど、中身は全くそちらではない方向にすすむんだね。ただ、この圧倒的な組織を思わせるものたちに、暗殺犯人に仕立て上げられるという話が、村上春樹のいう「システムと個人」「卵と壁」と同じものを描いているように思えた。

また、「信頼できるものは習慣」と言う言葉の背景に広がっているものは、内田樹がなんども語っている「身体性」ということに通じる。

映画を見た後、本も読んでみた。構成がいい。

ビートルズのアビーロード時代のエピソードが語られるけど、その辺は???リアルタイムで生きていた自分にはポールがばらばらのバンドをつなぎ止めようと~うんぬんは全く感じられなかったよなぁ。それって後からビートルズに触れた世代ならではの受け取り方のような気がする。ま、それでいいんだけどね、じっさいそういう年代のシチュエーションだし。

重力ピエロも言いたいことは「事件」とはまったく違うところで「シリアスなことほど軽く語る」というスタイルのことを伝えたかったのだと前に書いたけど、この映画で確信した。伊坂幸太郎=村上春樹=内田樹である!
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芋づる日記だな、今日は


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「最近おもしろい本読んだ?」なんて嬉しい会話があり、万城目学を推薦し、逆に「悪党」をすすめられ…、で思い出したことが。

鹿男あをによし
鹿男あをによし
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悪党
悪党
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最初の写真は万城目学の本のイラストを描いている石居麻耶個展から引っ張ってきた画像。「鹿男~」を最初に手に取ったのはイラストの力だったのかも、と思い出した。

今朝の朝日新聞に中村佑介の画集発売の広告が大きく出ていた。
夜は短し歩けよ乙女
夜は短し歩けよ乙女
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この本もイラストに惹かれて、と同じ動機で手にした本。中村佑介の方は、いろいろ見てみるといいなぁと思えたのは最近の数作だけで、逆に石居麻耶のほうはぐっと惹かれるものがあった。展覧会なんかないかなぁとさがして見つけたのが個展の案内で、しかも「海」だという。こりゃぁ、行って見なくちゃ。

それにしても「夜は短し~」の森見 登美彦も「鹿男~」の万城目学もそろって京都大学卒、まとっている雰囲気が似てるなぁと思っていたが、使われているイラストも似ているのはそのせいか?
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1Q84…


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すごい売れ行きなのだと、ニュースにもなっている村上春樹の新作。新聞でそのアンケートをしていた。しばらく前、姉から「読んだことが無かったんだけど、どう?」というメールが来ていて、返事に困った。

新聞の記事にもあるように、その魅力ってどう表現していいのかよくわからない。「どこが魅力か?」のアンケートの円グラフを見ていて、なぁるほどとは思う。

「隠喩多様の文章」…ふんふん(肯き)
「幻想的な物語」…確かに
「漂う喪失感」…だよねぇ
「孤独な登場人物」…そうだけど、表現が違うかなぁ。
          選択肢の文章だから仕方ないかぁ
「引用の音楽や文学」…すごく感じるけど、
           でもそれは魅力と言うよりおまけに近い…

2月のエルサレム賞授賞式のスピーチに共感した人が多いのだという。姉のメールの返事にもそれを読んでみたらと書いたんだけど、正解だったかな。
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村上春樹


海辺のカフカ〈上〉
海辺のカフカ〈上〉
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村上春樹のエルサレム賞受賞とそのスピーチのニュースを数日前TVで見た。ほんの断片だけだったが、長年の読者としては、村上春樹らしくてその日の自分のトップニュースではあった。

「卵の側にたつ」と伝えられたそのニュースは、新聞でもあまり大きな扱いにはならず、スピーチについてはいつか全文が報じられるかと待ちつつ、まったく報じられる様子もない。なんでぇ?

しょうがないので時間のできた日曜に全文がどこかで読めないかさがしてみたら、ありました。ネット社会の恩恵ってこんな時にすごいなぁ、ありがたいなぁとつくづく思います。

しあわせのかたちスピーチの全文翻訳。いろいろある全文紹介の中でいちばんと思う。

『HAARETZ』紙に掲載された村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ

「ダブル村上」追っかけをして久しい。新作が出ると、もったいなくて読めない…読み出すと読み終えてしまうから、って変な対応をしてしまうほど、村上春樹の紡ぐ世界が好き。今回のスピーチは、その新作を読んだ様な気分にもなった。「システムと個人」の話をいろいろな「嘘」で物語ってくれていたのだから当然かもしれない。

「しあわせのかたち」当該ブログ記事には、「卵」のモチーフは、卵がかえって鳥になり壁を越えるというメタファーを含むこと」とか、stand onの翻訳の違いとか読ませるコメントが続く。世の中のブログにはすごいものがあるもんだ。
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おやじがき(爆笑)


おやじがき―絶滅危惧種中年男性図鑑
おやじがき―絶滅危惧種中年男性図鑑
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都会に行って電車なんか乗るとおもしろい人を見かけることがおおいよねぇ。(時々恐ろしげな人もいるけど)そんな感じの人間観察本として爆笑ものだったのがこれ。

絵や漫画を画けるっていいよなぁと思うけど、でも絵だけだったらきっと読後感が悪かったかも。絵ももちろんいいけど、それについているちょっとした文章に「愛」が感じられちゃうんだなぁ。

愛って言うと大げさかぁ、「悲哀」?「慈悲」…とにかく目線が暖かく、それが救いです。絶滅危惧種扱いしてるけど、からかってるだけではなくて、どうか生き延びて欲しいって見守る気持ちがその言葉の裏から透けて見えるから。

親父ギャグ、いいじゃぁあ~りませんか、ポマードぷんぷん、よござんしょ。
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こんどは談春


赤めだか

談春のエッセイだけど、印象に残ったのは談志。NHKのBSで談志の特集を見たときにずいぶんと印象が違うな(自分の思い込みと映像で流される談志の印象が大きく違った)と感じてたけど、これを読んでなるほどと思った。
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